うつ病になると、自分を含む他人や社会が全て
敵に見えてしまい孤立を感じるようになります。
他人からアドバイスや、社会からの情報を得ても
『お前に私の何が分かるのだ』という感情が
全て支配をしているため思考・行動・体の反応が
正常に機能せずに何事においても拒絶をします。
さらに拒絶状態を繰り返すことで、
先が見えない真っ暗な道をひたすら
歩いている様な感覚になるため、
どんどん深みにはまっていきます。
あなたの周りでそのような人がいらっしゃれば、
どんなに拒絶をされたとしても必ず見放さずに
寄り添っていただきたいです。
うつ病の詳しい説明についてはこちらを
ご確認ください。
×(私)⇒×(他者)うつ病反応
正常な反応 〇(私)→〇(他者)

①自分について感じていること
私は、やることなすことうまくいって
ラッキーだなって思うことが多い。
自分が上手くいっているから他人も同じように
上手くいって欲しいと心から願っている。
比較自体をする必要がない。
②他者に対して感じていること
他人の成功を自分のことのように喜べる。
更に他人の良いところを自分にも活かすことが
できないかを考えて行動することができる。
③世の中に対して感じていること
私を含む周りの人は色々なことができて凄い。
社会全体が上手くいっていて、
成功している人たちが大変多いと感じる。
私や周りの人たちの意見を全て理解できるし、
批判することなく尊重することができている。
防衛反応がある、ない状態の対比
防衛反応がある状態
脳が「傷つきたくない」と感じ、自分を守っている状態。
例:「宿題or会社の仕事がちゃんとできていない」と
友人や職場の同僚から指摘をされた。
防衛反応があると、下記のことが起こる可能性がある。
・「そんなこと言うなよ」と怒りだす。
・「時間がなかったから仕方がない」と反論をする。
・自分の心の中で、「なぜそんなことをいうのだ」と
悲しく思ってしまう。
批判を受けることで脳が自分の心を守るために、
自動的に怒りや悲しい感情を出して傷つかないように
反応している状態です。
※防衛反応は誰にでもあり
自分を守るために大変重要なもの。
しかし、防衛反応が自動的に出現した原因で、
素直に他人の意見を受け入れられなかったり、
自分の気持ちを正直に伝えられなかったり
することがある。
防衛反応がない状態
いつもリラックスしていて、自分をオープンにできる
から相手の言葉をそのまま受け止められる状態。
例:「宿題or会社の仕事がちゃんとできていない」と
上記と同様に友人や職場の同僚から指摘をされた。
防衛反応がないと下記のようなことが起こる。
・「そうなんだ、時間が足りなかったから、
今度もっと頑張るよ」って前向きに考える。
・「どこを修正すれば上手くできるか」
相手の意見を聞いてみる。
・「そうなんだ」と冷静に受け取るだけで、
特に嫌な気持ちにならない。
※防衛反応がないと、自分に対する批判や指摘を
怖がらずに受け止められるし、自分の気持ちを
そのまま相手に伝えることができる。
それには、脳が安心している状態で他人との信頼が
必要なので簡単ではない。
心と脳に余裕を持つことで、人間関係がもっと
スムーズになるし、自分自身の成長にも繋がる。
良好な人間関係を構築する改善法
良好な人間関係を構築するには、前述の通り
〇(私)→〇(他者)の状態にする必要があります。
その際に有効になるのが、交流分析と
呼ばれる方法がオススメです。
交流分析とは、自分や他人とコミュニケーション
の仕方をよく知るための考え方になります。
その中には「自我状態」という、自分の中の
3つの「声」や「気持ち」が関係しています。
1. 親の自我状態
これは、自分の中で「大人の声」です。
両親から様々なことを教えて貰ったことが土台になり、
人にルールを教える、約束を守ろうとする声。
例:「これをしちゃダメ」、「気をつけてね」、
「同僚や友達を傷つけたくない」という感じで、
時には厳しく、時には優しくサポートする気持ちです。
2. 大人の自我状態
自分の中で「一番冷静で現実的」です。
何かを決める判断する時に、感情に左右されず、
ちゃんと考えて行動しようとする声。
例:「仕事・宿題が終わったら遊べる」
「この作業・問題はこうして解決」
「ケンカは良くない、落ち着こう」
このように、客観的に物事を考えられる
気持ちの状態です。
3. 子どもの自我状態
自分の中で「子どもの気持ち」です。
感情的に行動する時は、他人のことを気にせずに、
自分がこうだと思ったことをひたすら追求する声。
例:楽しく遊びたい、美味しいものを食べたいという
自由で元気な気持ち。
「怒られたくない」、「相手に言い返したい!」
「やりたくない」という感情も含みます。
自分と他人が〇な3つの声と気持ち
NP 養育的な親(Nurturing Parent)
感情の特徴
穏やかで安心でき、自分の感情に正直である。
他者の感情にも共感することができる。
他者を守りたい、許してあげたい気持ちが強い。
考え方の特徴
他者と協力を大切にし、理解し合うことを望む。
人に愛情を持って接し、助け合いたいと思う。
一緒に仲良くやることが基本的な考え方である。
自分と、他者の考え方が違うことを尊重し、
お互いの気持ちや考え方を大切にする。
異なる意見や考えを持っている人でも、
その人自身を否定することはない。
行動の特徴
他の人の話をよく聞き、慰めの言葉をかける。
他者を受け止める姿勢を示し微笑みやうなずく。
他者をほめたり、勇気づけたりすることが多い。
他者に気を配りながら、自分の考えも伝える。
表情や言葉の特徴
優しいまなざしで微笑み、他者をゆったり見る。
リラックスした穏やかな声で話し、
他者を思いやる言葉やほめる言葉を使う。
「こうしたらどう?」など、他者に配慮した
提案をすることが多い。
場の雰囲気をよくする言動を心がけている。
A 成人 (Adult)
感情の特徴
周囲からの情報を適切に受け止め、
現在の状況に合った冷静で客観的な感情を
使えることが特徴です。
自分がどのような感情を持っているか、
それがなぜ生まれたのかきちんと理解している。
偏見や思い込みに囚われにくいため、
ネガティブな感情に引きずられることが少ない。
安全で落ち着いた状況を作り出すために
感情を上手にコントロールします。
思考の特徴
情報収集し、状況を把握して判断する力がある。
問題点を見つけた場合、その解決に向けて
計画を立てて行動します。
事実に基づき、現時点で最適な判断を下します。
問題を整理して簡潔にし、自分自身や状況を
混乱させないように努めます。
行動の特徴
問題解決に向けて決めた行動を、途中で諦めず
やり遂げる姿勢を持っています。
失敗しても、論理的に考えながらすぐに行動を
修正することができる。
他人からの情報を、年齢、性別、地位、
好き嫌いに関係なく、客観的に受け入れます。
自分の言動がどのように時間的・空間的に
影響を与えるかを理解し行動。
理解を深めるために質問をし、
事実を知るために耳を傾けることができる。
表情・言葉の特徴
リラックスしているが、姿勢はまっすぐで
安定しています。
無駄な言葉を発することはなく、
現在に集中した穏やかな表情をしています。
声の大きさやトーンも程よく適切です。
NC 自然な子供(Natural Child)
感情の特徴
嬉しい、悲しい、怒り、恐怖などの本物の感情を
自然に表現するので感情はすぐに消える。
自分が今どのような感情を抱いているのかを
はっきりと自覚している。
魅力的に感情を表現することができます。
思考の特徴
自己を肯定的に捉え、幸福感を感じやすい
思考パターンを持っています。
他者に対して共感しようとする姿勢。
自分が認められたり守られたりすることが
幸せだと感じます。
行動の特徴
自分の欲求や望みをしっかりと認識し、
周囲に伝えることができます。
他者からの承認や励ましを求め、
何事にも楽しみを見出そうとします。
表情・言葉の特徴
感情に応じて表情がいきいきと変化する。
ストレートで直接的な表現を使用する。
例えば「わー!」「きゃー!」「お腹すいた」
「眠たい」「~したい」「すごい」「おいしい」
「楽しい」「幸せ」「きれい」「大好き」が
挙げられます。
まとめ
良好な人間関係を築くためには、自分と他者を
尊重することが大切です。
防衛反応は、自他からの批判や指摘に対して
「傷つきたくない」と感じる脳の自動反応です。
この反応が強いと、素直に他者の意見を
受け止められなくなります。
一方で防衛反応がないと、リラックスして
相手の言葉を受け止めて、建設的に対応できる。
このためには信頼と安心が必要です。
交流分析を用い、自分の「親」「大人」「子ども」
の自我状態を理解することで、他者とより良い
関係を築くことができます。